▼担当学生記者
木田英恵(22歳:取材時)
▼取材日
2005/1/14(金)
▼取材時間
09:30~11:30
▼取材地
柴田さんのご自宅@蒲田
▼取材の雰囲気
取材は蒲田にある柴田さんのご自宅で行われました。担当記者のプレッシャーに加え、憧れている方のご自宅だったので、かつてないほどに緊張しました。ところがいざ取材が始まってみると、先ほどの緊張はどこへやら、柴田さんのユーモアたっぷりのお話に引き込まれてしまいました。窓を大きくとった日当たりの良い書斎はとてもぽかぽかと暖かく春のような日差しでした。
後姿を写真に撮るときに「(翻訳の)仕事してるっぽくやります?」とおっしゃってくださって、写真を撮り始めると、途中から本当に翻訳を始めていらっしゃってびっくりしました。本当に翻訳がお好きなのだな、と読者としてとても嬉しくなりました。
取材が終わって、柴田先生の家から駅まで道を歩いている時間、「このまま死んでも悔いはないな」と思いました(その瞬間は結構本気で)。キャリナビで過ごした六ヶ月間のすべてが、この二時間に収斂されていくような、そんな錯覚すら覚えるほど、うまく言えないけれど、心が震えるような取材でした。
私は、高校に入った時から大学は文学部に行きたいなと思っていたのですが、進路選択の時間に友達に「そんなツブシのきかないとこ行ってもしょうがないじゃん」と鼻であしらわれ、その瞬間から、私にとって大学に入る意味は「ツブシのきく(と言われている)学部に対する反抗」と相成りました。といっても何かしたわけではなく、進路選択のときに、さらにツブシのきかないといわれている、日本文学専修に進んだくらいなのですが。
私はあまり何かを深く悩んだりしないので、これまで過ごしては来ましたが、「しょうがないじゃん」と言われた言葉が未だにどこかにひっかかってたようで、柴田先生に「僕は文学の面白さを伝えたいんだ」と言われたときに、ああ、少なくとも私はツブシのきかない文学をやってて本当に良かったと思いました。今日この言葉を聞けただけでも文学部に入った価値はあると思いました。
「とにかく自分がやりたいと思ったらやってみれば良い。色々やる中でもちろんハズレもアタリもある。ハズレがないのは、むしが良すぎる。物事には沈み込むのに時間がかかるので将来何が役に立つか分からない」と柴田さんは仰っていました。
楽しそう、おもしろそうと思ったら、上手くいくかな?人間関係をちゃんと築けるかな?など余計なことを考え込まないで、とにかく何でもやってみようと思いました。
私には、海外で生活したいという気持ちが以前からありました。でも、学問として学びたいことがなかったので、きちんとした留学でなく海外に行くということは無駄なことではないかと思っていました。「これをすると、こうなるからやる」というように、予め答えを持っていないと動き出せなかった自分を解放できそうです。
また、情報溢れる中で、情報を持ちすぎないでやってみることは大切だと思いました。調べすぎるとどんどん自分の可能性や選択肢を排除してしまうので、情報はほどほどに集めようと思います。情報を多く集めたほうがいいとか、目的意識はないといけないという固定観念を捨てるいいきっかけになった取材でした。 私ももう少し柴田さんのように柔軟に生きたいです。
取材の終わり頃に柴田さんがポロっと言った言葉です。ご自身の好きなことが出来ている柴田さんがそう仰ったので、物凄く説得力がありました。では自分が何でそういう言葉に惹かれるのだろう、と考えた時、ある一つの結論が出てきました。「自分には別にやりたいことがある。だけど4月からの就職先が決まっている、そして就職先に疑問のようなものを感じているから」ということです。
自分は昔から音楽に興味がありましたが、「趣味を仕事にする」ことに強い疑問を感じていました。「好きなことを仕事にしたら、それを好きでなくなってしまうのではないか?今は音楽のいい面だけ見ているけど、仕事にしたら音楽に関係する嫌な面も見るのではないか?」という、変な不安のようなものがあり、結局音楽関係の道に進むことはやめました。
音楽はあくまで趣味として続けよう、と思っていました。実際、企業で仕事をすることに興味もありましたし。しかし、キャリナビで活動しているうちに、「やっぱり好きなことを仕事にしたい」という気持ちが沸いてきました。ただ、会社の内定者研修は秋から始まってますし、いまいちその気持ちに自身が持てていませんでした。
でも、今回、柴田さんの取材に同行させていただいて、好きなことを仕事にしたい!という気持ちは、もう無視できないくらい自分の中で大きくなっているのが分かりました。
じゃあこれから自分はどうするのか?と聞かれたら、正直なところ、まだ分かりません。音楽関係の仕事に就くために、内定を辞退する、ということもあまり考えていません。親とも話したのですが、やはり会社で働く経験は重要であるから、とりあえず数年働いて、それと同時平行で音楽関係への道を探してみようと思います。やはり社会に出て色んな人と出会ったり、世の中の仕組みを学ぶことは、決して無駄ではないと思います。別に今すぐではなく、最終的に自分の好きなことができてればいいと思っています。
今回の取材は僕自身にとって、かなり大きな意味を持つものになりました。特に「無駄なものは無駄じゃない」「人間はなりゆきだけで生きている」「好きなものは我慢しない方がいい」という言葉、以前から何となく自分の中で意識していたこと、何となく不安に感じていたことが、柴田さんの言葉によって、明確なイメージを持つようになりました。
ただ明確なイメージといっても、それで自分の進むべき方向がはっきり見えて、さあその道に進もう!という感じではありません。むしろ、そのイメージによって、自分自身かなり混乱させられている部分もあります。今回の取材がきっかけで、これからかなり悩むことでしょう。ただ、悩みのイメージが明確になったことは、凄く自分にとって大きかったです。