インターネットのお仕事人辞典 トップページ > インターネットのお仕事人辞典(R) > ナビゲーター:池本修悟さん[NPO代表] > インタビュー
2.携帯を使った地域再生

 

記: メディアプロデュース活動についてもう少しお聞きしたいのですが、他の具体的な活動を教えてください。

池本さん: 僕らがやったこととして、「どこでも博物館」というものがあります。これは僕が学生時代にプロデュースしたもので、広島県の尾道市における携帯を使った観光システムのことです。実は今、これの丸の内版を作ろうということをやっていて、「東京丸の内ユビキタスミュージアム」というのを作るお仕事をしています。僕にとっては、修士論文を書いた場所でもある尾道での経験は人生の中で大きかったと思っています。ほぼ半年間ぐらい東京都と行ったり来たりの生活で、尾道に半分住んでいた状態でした。

記: 「どこでも博物館」のコンセプトは、どのようなものですか?

池本さん: 「どこでも博物館」のコンセプトは、今の時代誰でも持っている携帯電話を使って、街全体を生きた歴史の博物館に変え、それぞれの場所の隠れた情報を、「必要なときに、必要なところで、誰でも、簡単に引き出せるようにすること」です。また、現地の人が情報を追加するだけでなく、観光客の新しい発見も追加することが出来るので、街づくりの一環としてのメディアの役割も担っています。

記: 尾道での「どこでも博物館」は、どんなことからはじめたのですか?

池本さん: まず、街の人も気付いていない街の良さを探すということからはじめました。そうして、僕らが見つけてきた街の面白いところ、いいところを携帯のサイトに載せていきました。その中で、一番良い経験になったことは、僕らがそのプロジェクトをすることを通じて、街の人同士がつながっていき、最終的にはその活動を街の人たちが、引き継いで、NPOを作るところまで発展したことです。最初のシステムや、携帯を使うというコンセプトは、僕ら東京からのスタッフがやりましたけど、それ以降は街の人たち自身が、自分たちでやっていく自力があって、そのNPOは今でも街の人たちで運営されています。新しいプロジェクトをすることで、街の人の地域再生のモデルを肌身で感じることが出来て、街でプロジェクトをやるのは面白いと思いました。

記: それが現在の丸の内での「東京丸の内ユビキタスミュージアム」のお仕事とつながっているわけですね。

池本さん: そうなんです。尾道にしても、今回の丸の内にしても、人々のつながりがすごく面白いと思います。尾道の街の人々と同じように、今度は企業の人たちがボランタリーに力を合わせてやっていて、お金だけのためにやっていないというのが本当に伝わってくるんです。それが僕にとっても、やる気の源になっていて、今は地域再生のような活動にはまっていますね。

記: スローナンバーマップにしても、「どこでも博物館」にしても、携帯を使うことで新しい形を提案されているわけですよね。そこにはどのような意味があるのですか?

池本さん: 別に携帯を使った仕事がしたいというわけではないのです。モノや人、場所などのコンテクストを目で見える形にするために、いま誰でも持っている携帯を、魔法の虫眼鏡みたいな使い方をしてやると面白いことが出来るんじゃないかというところに基本的なコンセプトがあるんです。

記: 魔法の虫眼鏡!?って、何ですか?

池本さん: 目で見るだけでは直接知ることのできないような、物の背景にあるものを、誰でも持っている、どこでも持ち運び可能な携帯電話を使うことで、いつでもどこでも知ることが出来るようにする、ということです。例えば、コップだってお茶だって、誰かが何かしらの手を加えたりして、いろんなプロセスを経ていきているわけです。でも、たとえば、コップだったら、コップが出来るまでのプロセスは、出来上がってしまったコップを見てもわからないじゃないですか。蛇口をひねって出てきた水が、どこから来たのか、水がある場所にどんな歴史があるのか、わからないじゃないですか。物にも物語があるし、本にも文字情報のコンテクストがあります。そういうところに想像力を膨らませて、実際に目で見て知ることができる仕組みが出来たら、もっと面白いことが出来るし、僕らのライフスタイルも豊かになると思うんです。そういったことがコンセプトなので、別に携帯じゃなくてもいいんです。物そのものが語ることが出来ればいいんですけど、それはいま無理だから、携帯を使ったらうまく出来るじゃないかという話になったんです。

記: 携帯の新しい活用方法ですね。

池本さん: 携帯を使うことで、物の出来上がるプロセスなどの、現代においては見えなくなってしまっているような部分を浮き上がらせる活動を、メディアプロデュース活動としてやっているわけです。

 
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