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5.つい足が向くような場所に

 

記: これからどういう本屋にしていきたいですか?

笈入さん: お客さんに新しい発見を提供できるところにしたいです。何か気になることがあって来られたお客さんにも、フラッと入って来られたお客さんに対しても。一番悲しいのは、これだけの本が置いてあるのに何もピンと来ない、という顔をされて出て行かれてしまう時です。毎日のように来るお客さんで“面白い本があればいつでも買うぞ”って顔をしているのに、滅多に買っていかない、買っても1冊2冊というお客さんがいるんです。よく“なんかピンとこないなぁ”という顔をして出て行かれてしまうんですよ。そういう特に目当ての本あるわけではなかった方も、何か1冊手に入れたくなってしまう、そんな工夫を店内に散りばめておきたいというのがあります。

でも、フラッと本屋に入って「今日は何を読もうかなぁ」なんて良い趣味だと思いませんか?「地元の本屋」という気軽に来られる所で新しい発見ができたり、これを読んだら次はこれを読んでみよう、とワクワクするような、面白い本や本の面白さに触れられる所になればと思いますね。暇な時につい足が向くような本屋になりたいですね。

記: 「いきつけの本屋」という感じでしょうか。常連客の方は多いですか?

笈入さん: 多いですよ。でも常連の方は決まった雑誌を買うという感じです。本当のことを言うと、いろんな本を買ってくださる常連の方がいると嬉しいんですけどね。居るんですけど、まだ少ないです。お客さんが何を買うかまだ決めていない状態で、「こういう感じの本が読みたいんだ」と相談してくださる常連さんがいたらいいですね。

記: 実際に笈入さんの選書眼を信頼して来るお客さんはいらっしゃるんですか?

笈入さん: 僕のにらんだ本を求めてというよりは、ある程度お客さんの中でこんな感じの本が読みたいというイメージを持って聞いて下さる方はいます。でも、僕のセンスを信頼して来て下さるというのは理想ですよね。いつかはブッククラブのような、一種の情報サービスみたいなことが出来れば面白いなと思います。ブッククラブというのは、子どもの年齢に合ったおすすめの本を毎月一冊届けてくれる、という絵本によくあるシステムですが、毎月厳選された本が紹介されているわけです。同じように、例えば今月のおすすめの本を何冊か選んで、内容紹介、私の感想、おすすめの理由まできっちり紹介し、その中からお客さんが本を選べる形にする。そうすると「往来堂が選んだ本」というセレクトショップとしての意味が付いてくると思うんです。今も往来堂のホームページ上で、本の紹介、私の感想、おすすめの理由などを添えて本を紹介し、それを店頭に置くということはしています。

記: それは面白そうですね。実現される日を楽しみにしています。ところで、一時は本屋という人生に少し自信をなくしたこともあったということでしたが、今現在は本屋という人生をどう考えていらっしゃいますか?

笈入さん: そうですね。 近頃では技術革新が進み、インターネットで本が買えたりパソコンで本の内容を読むことができる電子書籍が出てきたりしているので、本音をいうとこれから先、本というものが古くなってしまうのでは、という心配はあります。しかし、先のことを心配するよりも、お店を良くしていくために今何ができるかを考えなくてはなりません。小さい書店でうちのような仕入れ方法はまだ一般的ではないので、仕入先や出版社との付き合い方でも、本の陳列でも、日々試行錯誤の繰り返しなのです。ですから今は先のことはあまり考えず日常の仕事を頑張っているという感じです。

 
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