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6.大切なのは正義~社長として心掛けていること~

 

記: 仕事をされていて一番楽しいことはなんですか?

岩井さん: もちろん楽しいことは数限りなくありますけど、何が僕の中で一番重要かというと採用です。これが一番自分としてはまだまだ力を入れなければいけないことじゃないかなと思っています。モノリスは毎年新卒の採用をやります。東京と名古屋と大阪で今年も10回説明会をやりました。そのそれぞれに選考会が続いていくんです。一次選考、二次選考、三次選考、最終と。僕全部出るんですよ。それが日数にして40日くらい。1年の中で40日くらい使ってしまうんだけど、それでもこれからのモノリスを動かす人間を採用するという仕事は僕にとって非常に重要なんです。内定が固まって、“内定者の集い”っていうのをやるんですけど、それはもう最高に楽しいですね(笑)。

記: “内定者の集い”というのはどんなことをするんですか?

岩井さん: “内定者の集い”っていうのは基本的にはいろんな地域で採用された子たちが初めて顔を合わせて、「来年から俺たち仲間なんだね」っていうことを認識させるための会です。新入社員と先輩社員の交流などがあります。モノリスに入ってくる子たちって一風変わっているんですよね。志が違うんだよ。「モノリスのこういう事業をやりたいから入る」っていう人間ではない。モノリスに入って何年かすれば今持っている自分の思いや志を実現できると考えている人間なんです。そして僕もそういう人間が欲しいんですよ。新人たちは1年目、2年目なんてまだまだ使い物にならない。でもその2年間の中できっちり成長した上で、3年目に花開けばいいんです。そういう次の時代のモノリスを担っていく様な人たちを採用していくことってやっぱりすごく楽しいですね。

記: 社長として心がけていらっしゃることはありますか?

岩井さん: そうですね、モノリスっていう会社は世間的にはとても特殊な会社だと思われているんですね。いろんな事業をやっていたり、全然収益が上がらないことに必死になっていたり。でも、それって結局は僕の選択によってこうなってきたわけなんですよ。必ず社長には選択をしなきゃいけない時期がくるんです。例えばAかBのどちらかを選ぶという選択をしなければならない。そのときに、ほとんどの社長がAという選択をする。でも僕はBを選んできたんです。それはなぜかと言うと、Aはすごく儲かる。でもAをやろうと思うと、自分たちの理念を守れない。当然「それは押し殺してここは会社の存続のためにがんばらなきゃいけないだろ」っていう意見もある。きっと会社の社長ならAを選ぶのは当たり前なんですよね。でも僕は選ばない。「嫌や」と。そして、Bを選ぶことはカッコいいんですよ。すごく素敵で、人から見ると「あの人ってやっぱり筋通ってるよね」とか「これが理想の会社だぞ!」って思われる。でもその反面、これを選んでしまったら、その尻を拭う人たちはものすごく大変なんですよね。それなのにBを選ぶことをし続けてきた。そうでないとモノリスではないんです。だから僕が常に心がけていることは、ただの一度だってAという選択肢を選ばないことです。これからもそれでやり続ける。それでやり続けて、もし社会から「もうそういう会社はだめだよ」って言われたら潔く散るしかないと思っている。でもそうやってずっとうちがやり続けることで、例えば店頭公開(注1)でき、上場(注2)ができて、社会に対して影響力を持てたならば、僕はそのとき初めて「でしょ?」って言う。「このやり方だって会社は残れるんだよ。このやり方で世の中に影響力を持てるんだよ。だからこれからの日本はこういうものを目指そうよ」って言えたらどんなにうれしいだろうと思うんですよ。

今の日本の社会が利益至上主義になりすぎていて、どんなことしてでもいいから金儲けする会社に資本家が集まっちゃっているんですよね。でもアメリカはもう違う。アメリカは社会貢献度の高い会社にそういう投資家が集まってきて、それを支える形がもう出来上がっているんです。それができないのが日本の情けなさ。だからどんなに「理想論者だ」とか「甘ちゃんだ」と言われても、僕はできたら自分が正しいと思う道を選ぶ。その上でみんなでがんばって会社を大きくしていきたいと思いますね。

記: 岩井さんにとって何が大切なんでしょうか?

岩井さん: 正義ですね。

記: 岩井さんにとって正義とは何なのですか?

岩井さん: 人間ってみんな正義があるんですよ。人間はみんないい人なんです。僕はそれを中学の頃から武者小路実篤に教わってきたんですね(笑)。みんな破滅主義(注3)なんかが好きだったんだけど、僕ひとりだけ自然主義(注4)が好きで白樺派(注5)が好きだった。いわゆる性善説(注6)ですよね。どんな悪いことをしている人でもいい心をもっているんだって。だからきっとそうじゃないことで儲けている人間たちって罪の意識があるんですよ。罪の意識があるんだけれども、人間にはいろんな欲望がありますよね。例えば「この金儲けをしたら、自分には名誉がついてくる」とか「お金がついてくる」と思うからやっちゃってる。でも「本当にお前はそれで楽しいのか?それやっていて人として正しいのか?」って自問自答した時には、「いや、いけないかもしれない」っていう気持ちがきっとあるんですよね。僕はいつもそこのところを恥ずかしげも無く、堂々と語りたいと思っているんです。「お前はこの仕事をしたいのかよ?する価値があるのか?誰のために?何のために?常に問いかけて、そこに答えのある仕事をしようぜ」って。青臭いですよね(笑)。

記: いえ、すごくカッコいいです。

岩井さん: いやいや、なんでこうなっちゃったのかと思うよね。自分でもすごくいばらの道だと思っているんです。こうやってカッコつけることはすごく大変なことなんですよ。もう何度も負けかけた。「こっち行ったら社員も助かるし、会社も安泰や」って思ったこと数知れずですよ。でもそうしちゃったら普通の会社になっちゃうだけなんです。僕にとっては、世の中の数多の普通の会社も普通の会社じゃないんですよね。「僕らがやってることが人として本当なのに」っていう思いがあるから。でもそれを人によっては「あんなことをやっていてよくあの会社残ってるよね。ぜったい無謀だよ。岩井おかしいぞ」と言われる。それに対する反発なんですよ。「おかしいと思っているお前らの方がおかしいだろ」と。

記: その自信はどこからくるんですか?

岩井さん: 自信は別に無いんです。ただ僕がずっと思っているのは正義は勝つっていうことだけですよ。負けることはあったとしても世の中からは消えない。そして最後には正義が勝つ。「正義が勝たなきゃおかしいだろ」って思っているだけですね。そういう考えは、応援団で学びました。すごい男臭くて、矛盾だらけの世界だったけど、常に「筋」っていう言葉を使われた。何かをやろうとするときに、先輩が「お前それ男として筋通ってんのかよ?」っていう言葉をよく出したんですね。最初に言われたときに「なんや筋って」と思ったんですよ。それから「筋ってなんだろう?」ってすごく考えた。そして自分なりに見えたんですよね。筋、それは「人を裏切らないこと」ですよ。これはすごく大事だなと思っています。どれだけ人に裏切られてもいいから、絶対に人を裏切らないことだけは僕は決めているんです。

 
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