▼担当学生記者
高原響(21歳:取材時)
▼取材日
2003/9/9(火)
▼取材時間
15:00~17:00
▼取材地
豆富司翠家@等々力
▼取材の雰囲気
取材はお店の3階にある部屋で行ないました。上がる途中にお店の内部の倉庫や作業場を案内してくださり、それらの1つ1つすべてに岩田さんのこだわりが感じられました。お仕事について、生き方について、語る岩田さんはとてもいきいきとして楽しそうでした。
岩田さんは以前は「TOFU TIMES」というお豆腐文化を紹介する冊子を 作っていたのですが今はやめたそうで、それは何故かといえば 「食べ物はぱくっと食べた瞬間に答えが出るもの」 「言葉では無理な部分がある」と考えたからだそうです。 そして従業員の方などにあまり注意をしないそうです。 「技術者は目で盗むもの」 「言葉がなくてもわかるものだから」とおっしゃいました。
「言葉で伝えない」。 日頃言葉で伝えることを大切にしている私にとって これはけっこうな衝撃でした。 なぜ岩田さんは言葉で伝えなくても大丈夫と思えるのか。 そう考えていて思ったのは 「相手を信頼しているからではないか」と思いました。
例えば私がアルバイトで新人さんに教えるときなど 「1から10まで言わなきゃいけない、大変だ」と思って どういえばうまく分かるかなど考え考え説明していました。 たぶんどこかで「何もわからないんだから教えてあげなきゃ」 などという感覚があったのかもしれません。
岩田さんはお客さんや友達、そして子供に対してすら 相手の判断にゆだねている部分があると感じました。 ゆだねる、というのは相手を信頼しないとできないことだと思います。 「相手を信じる」。そして「黙する」。 さいきん自分にできることがあるならすべてやろうと考えた結果 言葉に頼りすぎ、話しすぎてしまっていた感じがする私なので、 これを自分の中に取り込んでいけたらと思いました。 言葉以外で人と分かり合える可能性を感じられた取材でした。
そして岩田さんについて何よりも強く印象に残っているのは、 取材後の写真なども撮り終わってお別れする直前に 「君たちみたいな若者がいたら日本の将来は大丈夫だと思ったよ」 「今日は本当に来てくれてありがとう」 ということをおっしゃって下さったことです。 岩田さんのようなこんなにも素敵な方にこんなことを言っていただいて ジワーっと胸が熱くなりました。 (今思い出して本当に涙が… >_<)
「この人にそんなことを言ってもらえたのだから 私はこの先人間としてきちんと生きてゆける。」 もちろん私だけに向けた言葉ではないのですが そう思うことができました。
私は以前、自信が持てず自己否定してしまって悩んでいました。 今は少しずつ薄れてきたように思うのですが、 「人に信頼してもらえるとそれが自信となって 自分自身も信頼できるようになる。」 そういうことなのかもしれない、と思いました。
これは、「自分を見る」というお話の中で出てきた言葉です。
やりたいことがわからない人は、外に出された言葉の中で迷っているだけ。 まずは自分を見ることをしなければならない。 でも、自分を見ることは一番難しいこと。 逃げ出したくなるときもあるだろう。 それでも逃げない。 なぜなら、自分を見てくれている人はちゃんと見てくれているから。 自分の心の中にあるブラックボックス、 つまり、もやもやしてわからなくなっている部分を解いてくれる人がいる。 そういう人がひとりでもいれば十分。
このようなお話をしてくださいました。 岩田さんにとって、自分のブラックボックスを解いてくれた人は、 現在70歳で絵描きをしているおじいさんだそうです。 その人がいるから自分を見ることができる、逃げないでいられる、 とおっしゃっていました。
この言葉を聞いたとき、すぐにある人が私の心に浮かびました。 私にも私のブッラクボックスを私と一緒に解いてくれる人がいるな、と思いました。 そう思ったら、なんだかその人のことがとっても愛しく思えてきて、 すっごく大切にしたいと心の底から感じました。 その人は私だけのナビゲーターだと思っています。
誰にでも自分にとってだけのナビゲーターがいるはずです。 その人ひとりの前で涙を流してしまうような、 内に隠れた思いを素直に触れさせることができるような、 誰の一言でもなくその人の一言にショックを受けるような、 そんな自分だけのナビゲーターがいると思います。 それが、「自分のブラックボックスを解いてくれる人」ではないでしょうか。 私はそんな人をずっとずっと大事にしていきたいです。 そして、解いていく過程が辛くても、解ける瞬間は幸せなんじゃないか、 と信じて、核心に迫ることを恐れないでいようと思います。
お豆腐を製造する上で最初と最後を必ずチェック しているとおっしゃっていた岩田さんが豆腐屋の 事業を拡大する際に(現在は等々力の店舗のみならず デパートなどにも事業を拡大していらっしゃる) いろいろな人の手を通ると、自分の思いが変わって しまう事があるのではないか、その時自分とお店を 仲介している人に何か注意したりするかという質問に 対して
「細かく言わない。それが伝わる。」
とおっしゃっていたのが印象的でした。この質問以外でも お父様から直接お豆腐作りに教えて頂いたのかを質問した 時に、「エンジニアは教えてもらうのではなく、見て盗む。 その時の疑問も自分の技術になる。」とおっしゃっていた 事もこの言葉に通じると思います。 最近言葉の重みについて考える事があるのですが、その度に やはりどんなに言葉で言い表しても、その人の奥から出た 言葉でないとそれは力を発揮しないという事を感じています。 この言葉がそれを端的に表してくれていると私自身感じ、心に 残ったのだと思います。
この言葉は、若者に対するメッセージをお聞きしたときの言葉です。 自分の将来に不安を感じたり夢をもてなくなっている若者をどう思うか とお聞きしたときに、今の若者は遊びやゲームなどが周りにあふれているため 悩みがあっても遊びなどに気をとられて その問題と正面から向き合わなくなってきているのではないか とおっしゃっていました。
でも、逃げずに自分を見つめ「真実を追究」すれば道は見えてくる。 だから「頑張れ、逃げるなよ!」 と岩田さんが力強く話したのが私の目と心に焼き付いています。 というのも、岩田さんは話しているときはずっと私達の目を見て 話してくださっていました。
言葉だけでなく目からもメッセージが発信されて こちらに届いてきたような感覚でした。 ご自身も「相手の目を見て相手の気持ちをくんであげることは大切」 と話しておられました。
また、自分を見つめるのが難しくなった時は 「一番大切な友達を1人作る。その人が自分を見てくれる。」 これを言われたときに私は頭の中ですぐに思い浮かぶ友達がいました。 今日は、逃げずに道を切り開くヒントをもらえたように思います。 もっと自分で「逃げない」ことに対して掘り下げて、 具体的な行動に移せるように努力してみようと思います。