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記者(以下、記): 石川さんは外資系秘書、居酒屋、喫茶店の仕事、手紡ぎ工房主宰等を経て福祉の仕事にたどり着いたということですが、仕事の上で何を一番大切にしているのですか?
石川さん: いろいろなことをやってきましたが、その場所でどう自分が楽しんでいるかが重要で、嫌だと思った時は、すぐに辞める。これだけ言うととても短絡的ですが、別にやっていることに固執することはありませんでした。淡々と、そして、私はどこにいても同じなので、自分の中では全くぶれることはありませんでした。 記: いろいろなことに楽しみを見出して、淡々とこなしていくというのはすごいですね。 石川さん: もしかしたら、他の人よりも派手な所から地味な所までとか、ふざけた所から真面目な所までとか、マクロな所からミクロな所までというように物事を捉えることができることと関係しているかも知れません。しかし、何をやるにしても、やる前からしっかりした理屈とかはありませんでした。人生において、方程式というものはないわけですから、私がこのように生きてきたからといっても他の人が同じように生きられるかといえば、そんなわけはないですよね。だから、絶対的な理屈というものは何かをやる前にはないのです。とにかくぶつかった壁に対して夢中になって、自分を追い込んで追い込んで、自分のお尻に火をつけて走ればいいこともあります。そうした時にふと後ろを見たら、人とお金と事柄といったものが全てついて来ると思います。それなのに、人とお金と事柄とすべてを前に持ってきて、何かをやろうというのではいけません。そんなことを待っていては何もはじめることはできません。 記: それでは、実行していくために必要となるエネルギー源のようなものはありますか? 石川さん: それは特にないですね。私にとってはこれが普通なので、取り立てて、元気なようにしているわけでもないですし、取り立てて何かをしているというわけでもないですね。それに、見るからに肩に力が入っていて、「私、一生懸命やっています」というのはあまり好きではないですね。淡々とすごい仕事をこなしている人に憧れているのですよ。ですから私もそうしたいなと思っています。 記: どうして肩に力が入っている人は好きではないのですか? 石川さん: 美しくないからです。何をやるにしても、余裕があって、遊び心があって、いつもそんな雰囲気をもっていながら仕事も生活もできることが美しいと思います。だから私は「福祉を頑張っているオバサンです!!」というのは好きではありません。これは私の美意識に合わないのですね。だから、仕事のありようも美しくないと嫌なので、結構つらいことをやっていてもそのようなことを表に出したりはしたくないですね。でももろに出てしまっていますけど。 記: でも、つらいことはなかったのですか? 石川さん: それはもちろん、つらいこともありました。それに私は体が弱かったので3人目の子どもを中毒症で亡くしてしまい、腎臓も一つしか機能していないのです。仕事上はあまり気にしてはいませんが、人の3倍働いて人の2倍お酒を飲んでいますから、結果として年に1回救急車で運ばれます。だから、体が弱いことを小さい頃から自覚していて、どこかで自分をセーブしなければいけないという事はあると思います。でも、一人で結構無理をしていますよね。つらいことは何度もありました。でも、その分だけ楽しいことがありました。私は、楽しいことが10あれば、つらいことが10あると思っています。だから、つらいことが1しかなかったら、楽しいも1しかないと思います。これは結局、一人一人がそれぞれ自分で選ぶことですよね。私は、自分で自分を楽しくさせたいので、つらいこともしてきています。だから毎日が楽しいですよ。 記: 自分で自分を楽しくさせるのですか? 石川さん: そうです。だから私以外の人が、私を楽しませてくれるとは思っていません。自分を面白がらせるためには自分でやるしかないと思っています。「石川さん、何か面白いことがあったら教えてください。」という人がいますが、私は私の人生で精一杯で、他人の人生にまで関与する力はないのです。そういっても我儘に、講演会などで自分がしゃべることは好きですが、他人の話を聞いているよりは、家に帰ってお酒を飲んで本を読んでいるほうがずっといいですね。退屈な人生とか、つまらない人生というのは、自分で自分を楽しませていないだけでしょうたぶん。 記: しかし、どうしたらそのように楽しくできるのですか? 石川さん: 楽しむというのは、ただ誰かがなにかを持ってきてくれると待っているのではありません。また、私は悔しがり屋なので、あの時にこうすればよかったというような後悔をしたくはないのです。だから、今をどうするのかということを考えています。一生懸命にとことん真剣に考えて決めたことならば後悔はないですよね。逆に、生半可に考えてやると後悔すると思います。だから、私は400人くらいのやわらぎとにんじんの職員に何か聞かれたときは、脳みそを絞って絞って絞ってギリギリと考えるように言います。そうすると楽しめるのです、何事も。 記: 考えることがつらくなったりはしないのですか? 石川さん: 普通にしていても頭が自然に考えてしまうので、考えることがつらくなったりするということは特にありませんね。たぶん今までたくさんの壁と向き合ってきて、いつもその度に必死になって考えてきたことで徐々に自然に考えられるようになったのだと思っています。だから、考えることの習性や訓練は必要でしたね。そして今は何より考えることが楽しいですね。 記: 今までいろいろな壁があったのですね。 石川さん: そうですね。壁というか波のようなものが次から次へと押し寄せてきましたね。そして、私は波を自分でも作っていましたね。今まで、いろいろな波を作ってその波に向かっていきました。またそういうことが本当に楽しいので、逆に順調になってしまうと飽きてきてしまいました。 |