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学生記者の感想

▼担当学生記者
安井弓(20歳:取材時)

▼取材日
2003/5/27(火)

▼取材時間
14:00~17:00

▼取材地
泉さんの仕事場@蓮田:埼玉

▼取材の雰囲気

本当に好きなことをやっている
担当学生記者: 安井弓(20歳:取材時)

私は泉さんの職人としての貫いている揺るがない思いを心で感じ、強く感銘を受けました。漆刷毛師としての思い、こだわりをお話をするなかで感じるとともに、本当にものつくりが好きなんだということがわかりました。

泉さんのこだわりである「手作り」を基本にして、好きなことをするという揺るがない軸をもっていながら、現代に生きる、時代にあった伝統をつくっていきたいという現実社会をしっかりと落ち着いて受け止めていらっしゃいました。

取材をする前までの伝統に対する意識は守り受けづいていくという狭いイメージでしかなかったり、古いものは原始的で新しいものの方が機能的であるような考えがどこかでありましたが、取材を通して伝統は「世代を超えた経験の集大成」なんだという意識が生まれました。経験の積み重ねとして残っていくもの、受け継がれていくもの。

会社員として勤めで、自分がものづくりが好きで、自分にとって大事にしたいものが、漆刷毛づくりが好きだということに気付いたとおっしゃっていましたし、いろんなことをやってみて、漆刷毛に落ち着いたという過程があります。寄り道もあってこそ、寄り道から自分の本当に大事にしているものが見えること、「気付き」もあるんですね。いろんな経験があって、最後にたどりついた漆刷毛を貫いていく思いは絶対揺るがないことを感じさせられました。

私はものづくりにこだわる泉さんとお話することで、ものつくりに対する「好き」の気持ちが自分にも存在することに確信しました。私にとってのものづくりは料理だと思います。安全でやさしくおいしい食材で、おおざっぱだけれども、新しい発見のある、ちょっとした斬新なアイディアをまぜた料理、自分のおいしいと思う料理を考え出したりつくっていることがすごく楽しい。最初は一つ一つのばらばらな材料を組み合わせて人の手を加えることによって、ささやかな喜びや驚き、心動かさせるようなものをつくりだしていく、その過程がすごくわくわくします。そして、その自分の提供する空間や料理が人の心を動かして、よかったと思ってもらえる、ハッピーになってもらえる、そして私もハッピーになれる、エネルギーを与え、与えられることに大変な喜びを感じます。

その気持ちに気付けたことで、これからの自分を考える新たな決断のヒントにしていける気がします。

若い時はいろいろと迷う
同行学生記者: 栗田樹(23歳:取材時)

泉さんは大学を卒業されてからいったん会社に就職して働いていました。会社でもモノを作る事を仕事にしていたのですが、会社では設計をするだけで、つまりモノを作る事に部分的に関るだけで、泉さんがやりたいと思うモノつくりとの違和感を感じていたそうです。泉さんは自分がやりたい事は、全部自分で作る事と手作りでやるモノつくりだと分かって会社を辞めるのですが、会社を辞めた後もいくつか職を経験して、結局最後に子供の頃から慣れ親しんだ漆刷毛を作る事を選んだのです。

職人になるって決めることは、例えば漆刷毛職人の場合だったら、漆刷毛作りに一生をささげる覚悟が必要だと思います。職人なわけですから。その覚悟というか決心って、どうやってつけるのか僕はとても疑問に思っていました。今日、泉さんにお話を伺って、やっぱりなんでも実際にやってみてから判断していかないとだめなんだなと思いました。

僕はモノを作る事に興味があるけど、実際にどんなスタイルでモノをつくっていきたいのかがまだ見えてなくて、最近は考えて、悩んでばかりだったように思います。考える事はとっても大切だけど、体を動かしてみる事も同じように大切だと今回改めて感じました。

自分が作りたいものを最初から最後まで自分で作る
同行学生記者: 副島裕之(22歳:取材時)
泉さんは、他人が自分に作って欲しいものをつくるのではなく、自分が作りたいものを作ってそれを認めてもらうようにしているとおっしゃっていました。また、「自分が手がけるものは最初から最後まで自分でやらないと気がすまない」、「人に言われてやるのは嫌い。」ともおっしゃっていました。強い信念を感じると同時に、自分の考えをひとつの作品に刷り込む、逆にいうと作品に作った人の考えがでるものの素晴らしさを教えていただいた気がします。

一つ驚いたことがありました。今まで自分の中で「文化」だったり「伝統」というものは変化を好まないものだと勝手に解釈していました。しかし、泉さんは「その時代時代に合ったやり方で、伝統だったり文化も変化していく方が良い・・・もちろん自分の中にある信念は変えずに」とおっしゃっていたのが印象的でした。暗い話題の多い伝統工芸の中で、「つらいことなんてひとつもない、毎日が楽しいよ。」とおっしゃっていた泉さん、その答えはすぐにわかりました。泉さんはものづくりが好きなんです。小さい頃から慣れ親しんだ道具を使い、信頼できるものを丹念に最初から最後まで自分でつくることの楽しさ、これだけだとおっしゃっていました。泉さんはすぐ漆刷毛職人になったのではなく、少し遠回りをして今の職業に就かれたそうです。自分の人生に後悔せずに、最後には自分のやりたいこと(漆刷毛の作成)に人生を捧げるすごさを今回の取材で強く感じました。

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