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3.開業までの道のりはハードルだらけ!?

 

記: 旅から帰ってきて何をされたんですか。

飯田さん: シドニーオリンピックのビデオを見ました(笑)。旅行している間にちょうどオリンピックが開催されたんです。旅行から帰って一ヶ月くらいはゆっくりどういう行動をとるかを考えました。それから宿を立ち上げるために動きだしました。自分の中では実現すると信じていたけれども、本当に需要があるのか、日本に来ている外国のバックパッカーはどんなものを求めているか、実際は知らないことだらけだったので、二ヶ月くらい調べました。少ないながらも同じような宿をやっている所に客のふりをして行ってどういうことをしているかを聞いたり、京都の有名な観光地で外国人にアンケートをしました。

場所についても平行して探しました。京都には町屋といわれる木造建築が多いんです。外国の人は伝統的なものが好きだから、始めは木造建築の所を借りて改装しようと思っていました。不動産屋を回ってみましたし、京都駅の近くに空いていそうな物件があったら、近所の人に連絡先を聞いて、直接問い合わせました。また、京都には詰所という主に寺が持っている宿の形態があります。詰所で空いている所を見つけたので、使えるかどうか本願寺に聞きに行きました。でも結局は全てダメでした。何でダメだったかというと、法律上ほとんど無理なんです。宿をやるには旅館業の法律の下で許可をとらなければいけません。旅館業法の他にも、建築基準法、保健所の基準、消防法などが全部絡んでくるんです。その中で、町屋の古い木造建築を借りて宿をやるには、ほとんど分解して、火事が起こらないようにいろんな設備をつけなくてはいけないので無理がありました。だからといって買うお金も全然ありませんでした。一回ちょっと「もう、あかん。」と挫折しかけました。でも諦めることがなかなかできなくて、どうしようと考えていたら「買うことも考えられるんじゃないか。」とアドバイスしてくれる人がいたんです。今と同じで、銀行は新規の人にはなかなか貸し付けてはくれなかったんです。特に僕は全く畑違いの仕事をしていましたし。そこで行き詰まっている時に、国民生活金融公庫という政府系の金融機関の存在を知りました。国民生活金融公庫が新規の人や、中小企業向けに貸し付けてくれるということで、早速聞いてみると、中身によっては貸し付けが可能ということになりました。それから「じゃあ頑張ろうかな。」と、やる気も出てきました。それが11月ごろかな。今度は借りるのではなくて、売り物件を探し始めました。あともう一つは、新しく建物を建てるというプランも併せて考えました。不動産業者とか建築屋さんと、いろいろ安い所を探しました。とうとう、12月の28日くらいに、朝寝ていたら、知り合いの建築屋のおじさんが「こんな物件あるけど、どうや。」と電話をかけてきてくれました。それが今の宿なんですが、最初見た瞬間はいまいちピンときませんでした。実はもう一つ、京都駅から少し離れたさら地に新しく物件を建てるという候補地があったんです。割と安く新築を建てられるみたいで、どちらの方がいいか迷いました。1月3日か、4日くらいまで迷っていましたが、ちょうど正月で帰省していた友達にも相談して、新築の方ではなく、立地条件のよい方に決めました。確かに立地はすごく大事なんです。ガソリンスタンドでも、立地がよければ、あとは大したことなくてもお客さんが入ります。立地だけは変えられないですからね。設備や人のサービスは変えられるけれど、土地をもって動くことはできないです。建物を購入したら次は改装をしないといけません。改装工事はなるべく急いでもらって、一ヶ月ほどで済んだけれど、手続きで半年かかりました。

飯田さん: 必要な手続きがそれほどたくさんあったのですか。

記: 宿を始めるには許認可のハードルがいっぱいあります。旅館業法を担当したのは市役所ですが、申請は市役所、消防署、保健所、区役所、一つ一つしなければいけませんでした。最初は全部自分でやっていたけれど、手間もかかるし、専門的なところがたくさんあったので、途中からは委託しました。日本では、不況だから新規産業を活発にさせようと言われているけど、実際のところは新規産業を支える体制になっていないんです。役所なんかへ行ったら、新しいことをするなと言っているように思えました。建築屋さんと金額を決めて、合意ができて、工事の申請をしても待たされました。ようやく工事の許可が出ても、工事が終わったらまた次の申請があって、また更に次というふうにきりがありませんでした。さすがに苛立ちました。途中でお金が無くなってきたので派遣会社に登録してバイトもしました。結果的には気休めでしかなかったですが、とりあえず気持ちが焦っていたんです。今考えると端金を稼ぐくらいなら京都のお寺でも回っていろいろ調べていた方が後につながったと思いますが、お寺回りをするような気分ではありませんでした。

 
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