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記: 宇井さんは、どこにも属さず、分類されない領域で何かをしようとしていますよね。今回職業として分けられちゃっているけれども、本来、誰かが”したいこと”っていうのは、分野では分けられないものなんですよね。でも、それで良いんだと思うですね。多分みんなが本当に感じてることを素直にやっていったら、誰もどこにも分類はできないはずだと思うんです。でもそれに気づいていても、「その領域でやっていくんだ」という時の勇気っていうのは、とても必要だと思います。これはとても重要な事だと思うんです。 宇井さん: そうだね。ただ、昔はこれでいいやって思ってなかったと思う。小学校の時は、落ちこぼれだったし。自分が面白いと感じていたことと、他人の興味がすごくずれていたから、一生懸命発言しても、先生も分かんないなって顔するの。みんなが簡単にできちゃう算数とか、国語とかぜんっぜん面白くなかったのね。算数の計算にしても、どうしてそうなるんだろうっていう方が興味があって、それが分かるまでは、とりあえず覚えようってできないんだよね。だから、小学校3年生くらいで10点とか20点とか平気でとっていたし、もうすっごく落ちこぼれていたんだよね。 でも、中学校3年生ぐらいかな、本当に落ちこぼれて「高校に行けません」って言われた時に、「やっぱりそれは困るなあ、じゃあ、まず好きそうなことからやろう」って思って、英語から始めてみたのね。そしたら結局、英語はすごく面白くなってどんどん成績が伸びたの。それは、私が面白いって思っているところをよく理解してくれて、ちょっとの疑問でもすぐ解決してくれる先生がいたからこそなんだけれどね。 英語の授業って、普通、最初の項目から順番にやっていくでしょう?それから意味が分かんなくっても、とりあえず暗記したらできるようになる、とか、何の関連もなく文法を覚えるとか。私、その方法では絶対に面白いと思えなくて。かといって、本当に何も分かってなかったから、やっぱり基本的な文法を覚えることから始まったんだけれど、どうしてそういう言い方をするのか、とか他に関係のある項目は何か、とか、私の興味にちゃんと答えて、広がりを作ってくれる先生だったんです。それで、飛び飛びだった項目の、溝が少しずつ埋まっていって英語ができるようになったの。 で、そのとき初めて、私には私なりのやり方があって、今までの学校で教えてもらった方法ではできなかったけれども、違う方法で、本当に好きになれたらできるんだって思った時に、少し元気が出たの。高校に行ってからも、私はやっぱり満遍なくできるタイプじゃなくて、好きな科目(英語と古典)だけは頑張りました。 でもね、大好きって思った英語と古典だけは、絶対誰にも負けないって目標を立てて、ほかはもう10点でも20点でも良かった。そしたら、逆に少しずつ好きな科目が増えてきたんです。そんな経験から、「人間全部ができなくても生きていけるし、そういう風に好きなものだけやってても、興味が出てきた時には他のことだって頑張れる」って思えるようになったんですね。 で、大学に入って、私の行った学部は理科系とか文系とか関係なく分野が選べるようになっているところだったんだけれど、一応カリキュラム分けがされているから、分野だけは選ばなくっちゃいけなくて、それだけは難しい問題だった。 ただ、それでも自分なりに、「透明」の研究とか、水を(水で)表現するっていうテーマが、1年生の終わりぐらいから決まってたし、私、好きじゃないことは全くだめだけれど、逆に好きって思う気持ちがあれば、誰にも負けないエネルギーが出てくることを自分で知っていたの。だから決められた道に沿うことはできないって最初から諦めて、その代わり、誰もやっていないことでも、自分がやりたいことなら始めちゃえばいいやって思ったの。 半分諦めみたいに聞こえるかも知れないけれど、でも、私にはその方法が一番あっているし、それでいつか食べていけない時も来るかも知れないけど、やっぱり自分が一番したいんだって気持ちがなかったら、私自身が全滅しちゃうでしょ。だから自分が一番いい方法で、自分のできることをやることが、私には必要だなって思って、それからあんまり悩まなくなった。他の人がやってなくったって、そんな分野がなくったって、自分が作ればいいんじゃないっていう気持ちの方が、今は強い。 高校、大学の頃からやっと気が楽になってきた。それでも時々、この価値観が通じない体制の中に入ると、「あーやっぱりだめかな」って思っちゃうんだけど、でも大体の時は、私は私、って思ってる。 記: ところで、いつ頃から頑固だったんですか?(笑) 宇井さん: もう、小さい時から。(笑)幼稚園の時にね、クレヨンの箱を落っことしたのね、絵を描く時間の前に。で、すぐに床に座って拾い始めたんだけれど、みんな私の上を踏んでくの。私、小さかったから。でも、私は一生懸命クレヨンの赤はここ、黒はここっていうのを並べて、みんなが踏んづけても、いつまででも、もう授業が終わっても、ピッタリそれがそろうまで、その場を動かなかったんだって。だからそれぐらい、何がどうあっても、誰がなんと言っても、もうこれをやるって思ったら動かない子だったの。 記: でもそれは、実は自分を貫き通すという意味では、良い性格なんでしょうね。頑固だ、と言ってしまえば、頑固で終わってしまうかもしれないけど、そのかわり、それに対しては自分で責任を持つし、他に対してはもうやらないと決めることも、ある意味その自分に対して責任をとるという行動だと思うので。 宇井さん: でも、だからこその悪い面もいっぱいあるよ、頑固って。融通きかないとか。でもそれがよく働くところもあるから、よく働かせるところも作ればいいかなって最近思う。 記: その通りだと思います。適当に上手くできちゃう方がよっぽど問題だと。 宇井さん: そうだね。そうやってる人もいて、世の中うまく回ってるのかもしれないけど、私ができないことをいけないって否定しないことにしたの。 記: うん、うん、良いことだと思います。 |