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学生記者の感想

▼担当学生記者
稲葉綾(21歳:取材時)

▼取材日
2001/11/21(水)

▼取材時間
10:00~13:00

▼取材地
ナビゲータさんのご自宅

▼取材の雰囲気
天井まで本棚ぎっしりに書道に関する本が並んでいたり、大小さまざまの筆が干してあったりと、先生の書が生まれる場所で取材させていただきました。お茶をすすりながら、和やかな雰囲気でした

不安だから続けるんだよ。
担当学生記者: 稲葉綾(21歳:取材時)
先生のあったかーい雰囲気が伝わってきました。ニコニコしていて、思わず私もその笑顔につられて笑ってしまうような。実は結構厳しい事をおっしゃってるんです。けれど、それを淡々と話される姿にただならぬ精神を感じました。「神様ががんばってるごほうびにほんの数秒の瞬間をくれるんだよ。そのために書きた くなくても書き続ける。」歓声というか、ため息が出ました。

停滞してしまうのが怖い
同行学生記者: 安徳普至(21歳:取材時)
何事にも謙虚な方で、どんな質問にもニコニコしながら分かりやすい言葉で答えて下さった姿が印象的でした。何気ない言葉の端々にも、書家としての経験に裏打ちされた深い含蓄が感じられました。先生は、幼い頃からごく自然に書道に親しみ、良き師匠にも恵まれ、何の迷いもなく書道家としての道を歩まれたそうです。まさに「天性の書家」というべきでしょうか。
 「only one word」は「停滞してしまうのが怖い」という言葉でした。常に現状に満足することなく、何か新しいことを吸収しようとしている様子でした。そういった危機感をキープし続けるのは、書家として有名になればなるほどエネルギーがいることでしょう。書道に対して「プロフェッショナル」であり、イチローの野球に対する真摯な態度と共通するものを感じました。
 創作活動の中では、「うまい字を書こうとする欲」から自由になり無心になれる瞬間が時々あるそうで、「そういう瞬間に出会うために自分は書を書いているのかもしれない」とおっしゃっていました。書道家として悟りの境地に達したような言葉で、芸術の真髄のようなものに少し触れた気がします。「うまい字=その人らしさが出た字」という言葉を聞いて、「自分も書道やってみようかな」と思ってしまいました。自分にとって遠い存在だった書道を、身近に感じさせてくれた取材でした。

数秒
同行学生記者: 高橋健一(23歳:取材時)
書道家の今川さんはとても自分自身に素直な方だという印象をまず受けました。実際に『書く』行為になると、「このはね方をもっと大胆にすれば、見る人の印象をひきつけるんじゃないか」など、なかなか無心では書けないと隠さずに仰ってました。しかし、週に数秒は、その瞬間は自覚してないらしいですが、後になって、ふっと無心になって書ける瞬間があるそうです。
 その瞬間って、今の自分にはちょっと理解しにくいと思いました。何故なら、その『悟り』のような瞬間は、俗っぽい(友達いわく)自分には雲の上のような話だと思ったか らです。しかしその一方で、今川さんにも俗の事を考える時間があるのだから、自分にもいつか味わえるのではないかとも思います。
 今川さんは一つの事を毎日毎日、ある意味で『訓練』して、そういう境地にたどり着くことができたのだと思います。一つの事に打ち込んでいる人はかっこいいなと思います。色んな事やりたいと思ってる自分には難しいのかなぁ。でも自分に嘘ついて一つの事には集中できないので、とりあえず、今色んな事やりたいと思ってる自分からスタートして行くのが自分なりのスタイルかなぁと思ってます。

停滞するのが怖い。常に何かを吸収していたい。
同行学生記者: 林香予子(21歳:取材時)
〔only one word〕
停滞するのが怖い。常に何かを吸収していたい。
→ 書道というのはあらかじめ引かれたレールなどなく、自分の触覚を使って道を切り開いていかなければいけない。教わるものがなければ自分が停滞したり落ちていったりするようで不安だ。だから常に何かを吸収していたい。古典は私の唯一最大の拠り所だ。
先生がお手本とする大家の古典の字からは、その作品、その筆のタッチ等から作者の生き様が伝わってくるのだそうです。先生は、字を見て何を感じるかは人それぞれ違い、うまい下手の評価も人によって違うけれども、自分は若い頃よりも今のほうが大家の作品を見て感じるものが多くなった、とおっしゃっていました。それだけ感覚を磨き続けている人生経験を積んでいる、ということなのだと思います。
 また、字を書くとき、どんなことを考えているのですかという質問に対し、「うまい字を書こう、見る人を驚かせてやろうと思っているときはだんだん字が書けなくなってしまう。逆にいい字が書けたな、と思う時は後から考えてみると、心にそういう欲がない。私はその瞬間に出会うために字を書いている。」とおっしゃっていました。見栄を張らずに「書」を通して自分を表現することを求め続けている今川先生の姿勢に触れ、そういえば自分は、普段の生活に追われていつのまにか色んな感情にまみれ、心のあり方に正面から向き合うことをしていないなと気づかされました。
今川先生、貴重なお話をありがとうございました。

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