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速水さん: 今の時代は、経営者の立場からすると、いいものを安く提供する事が大事なんです。それは、製品に対しても厳しい目を持つという、俗に言う"賢い消費者"が増えたからですよね。さらに、ユニクロみたいに生産が中国へシフトしてしまうと、「では日本の生産はいったい何をすればいいのだ」という議論になって、「生産に対する環境負荷はどうなんだ」とか「あるいは途上国でつくっている品物は、適切な労働条件で働いている人によって作られているか」とかそういうところまで考えて意識された消費というのがおきてくるはずなんですよね。つまり、"賢い市民の選択"。 経営者側から言うと、"賢い市民の消費"への生産という動きが出てくると思うんですよね。たとえばトヨタのハイブリット車が売れるように、少し高くても環境によいものが売れていく、という状況が生まれていくんです。確実に"賢い市民の消費"というのが増えていくと思いますね。 記: その考えが、速水さんのやっていらっしゃる林業に関しても大事だということですね。 速水さん: 「日本の林業というのは環境破壊だ」という批判を受けてきた時代があるわけですよ。でも、環境に配慮した森林経営を行って、消費者の方々に、「ここの木は環境に配慮して育てられた木だ」と理解してもらう。それが大事だと思うんです。もともと林業は自然破壊なんです。だからその自然に対するインパクトを少しでも小さくしようという努力をしてきたわけです。 速水林業の山を見るとびっくりすると思うけど、普通、人工林というのは、動物は"ビジター"なんですよ。でもうちの山では、動物は"メンバー"ですから。山の中を歩いていて、ふと見るとウサギがいて草をはんでいたりとか、人間の存在を一切無視して哲学者みたいな顔して黙々とたぬきが歩いていたりするんですよ。そのような状況は日本の人工林にはあまりないんですけど、私は今の状況が出来あがってきたことがすごくうれしいです。
記: 実際に、どのように森林を管理してきて、今の状況があるのでしょうか? 速水さん: 今、私の会社には、60haの広葉樹の保護林があります。haというのは3千坪ですから、60haはドーム10個分くらいですね。その保護林の植物を調べると、180種類ぐらいあるんですが、私のヒノキの人工林には240種類の植物があるんですね。植えたヒノキをうまく管理して光をコントロールすると、他の植物が増えていきます。単純に放っておいた広葉樹よりも、しっかりと管理された人工林の方が、植物の種類だけ見れば多くなる場合があるんです。つまり、単純に「広葉樹林だから~、人工樹林だから~」と言ってプラスマイナスを論ずるのはちょっと底が浅いと思います。もう少しきちっとした議論が必要だと思います。人工林が問題なのではなくて、森林をどうやって管理するかということが問題となるべきだと思うんです。 |