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1.囲碁は強制で始めた!?

 

記者(以下、記): 子供の頃、色々な習い事をしていたそうですね?

梅沢さん: はい。例えばプールだったら将来泳げたらいいに違いないとか、ピアノだったら将来弾けたらいいに違いない、という感じで、母から勧められてたくさん習っていました。

記: 自分の意志ではなかったのですか?

梅沢さん: 自分の意志でやった習い事は一個もないですね。

記: 囲碁は小学生の時に始められたんですよね。では、その時も自分の意志で始めたわけではなかったのですか?

梅沢さん: 自分の意志ではなかったです。すごく父が厳しかったので、あまりおもしろいという感じはなくて、父に勧められ囲碁をやるところに行っていた感じです。

記: では、その時は囲碁をやることは嫌いだったのですか?

梅沢さん: 好きでやるという意識はあまりなかったですね。囲碁に行くとお菓子を買ってもらえていたんです。むしろ目的はそっちにありました。でも、当時の年齢にしてはそれなりの結果を残していたので、楽しい、という気持ちも、ある程度はありました。囲碁の世界では十代でプロの世界に入る人も多いので、私もそうしようと思うこともありました。

記: 本当に囲碁がおもしろくなって自分の意志でやろうと思ったのはいつからですか?

梅沢さん: そこが微妙なんです。自分の意志っていうよりもいつのまにか、なんとなくその道に入っていたという感じだったんです。イヤイヤやっていたながらも、勝負して負ければ悔しいし、勝つと嬉しい、という気持ちが小学生の頃からあったものですから、いざ「やめろ」と言われると寂しい気がしたんです。はっきりとした自分の意志ではなかったのですが、よくわからないまま続けていました。そして、大学一年生の時にはもうプロを目指し始めていました。でも、プロ試験に何十回も落ちたり、大学生活がすごく楽しかったりで、苦しい道が嫌になってしまって囲碁から離れた時もあるんです。囲碁というのは勝敗の責任がすべて自分にのしかかってくるから、勝てばすごく嬉しいけれど、負けると自己嫌悪に陥ってしまうんです。それまで培ってきた自信を失って、囲碁をする理由とか、これから進んでいくべき方向が見えなくなってしまうんです。そういう事が原因で一度は囲碁から離れました。そして、大学三年になって将来の事に目を向けた時に色々考えた末、再びプロ棋士を目指そうと決めたんです。

記: では、その時は苦汁の決断というよりはむしろ、すすんでその道を選んだのですか?

梅沢さん: そうですね。楽しい大学生活とは全く逆で、囲碁をやっている時はとても苦しいんです。だけど、囲碁には大学生活にはないものがあったんです。ものすごく集中力が高まって、アドレナリンが湧き出すような瞬間です。ここに、自分が何で囲碁をやりたいのか、その理由があるような気がします。

記: 囲碁の世界に入るにあたり大きな出会いはありましたか?

梅沢さん: 私は父の勧めで囲碁の世界に足を踏み入れたので、それまでに大きな出会いというのはありませんでした。けれど、私がプロを目指す大きなきっかけとなったのは今の師匠との出会いです。師匠は人間的にもすごくステキな方です。私は、師匠の囲碁だけではなく、人間性もとても尊敬しています。師匠の他にも棋士には、純粋で優しい人が多いんです。そういう人たちを見て「いい世界だな」と思います。もちろんたくさんの習い事を勧めてくれた母、そして囲碁というものを私に教えてくれた父にはとても感謝しています。

 
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