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青木さん: クリエイターの仕事をしたかったのですが、営業しか募集がなくて、営業に回りました。2,3年たったら、クリエイターのほうにまわすとだまされてはいったんですね(笑)。その後、クリエイターの部門はなくなって外注になりました。ただ、広告に関しての仕事をしたいと思っていたので、大きくとらえれば営業もかかわっているし、やりたいことをやっているというのがうれしかったのを覚えています。営業は人に会うことが多いですから、人の話を聞くっていうことがためになりましたね。自分が話をするより、聞くってことが大事なんだということがわかりました。派手なイメージがありますけど、会社に入って思ったのはなんて地味なんだろう、ということですね。それから、人間で仕事をしているというところがあるんですよ。君だから頼む、とかですね。企画力とかももちろんあるんだろうけど、でも君が言うんならっていうのがわれわれの時代は、すごくありました。だから対人関係でたくさん学ぶことがありましたね。
記: なぜ広告代理店をやめたんですか。 青木さん: カフェをやるチャンスができたからです。31歳のときです。ここが(八分音符)自宅なのでスペースがあったということですね。それから資金のめどがついたということですね。広告の仕事も楽しかったんですが、10年くらいやってこの仕事はもういいかなと思いましてね。もう1つ自分のやりたいことがあったわけですから、これはやるしかない、と思いました。10年目っていったらバリバリ働いている時期なんですけれども、やっぱりもういいかな、と思いました。それよりも自分がやりたいことがあるのだから、だからそっちをやりたいという感じです。それから、今、店でだしているコーヒー豆と出会ったって事も大きかったですね。たぶんこの豆に出会ってなかったらやってなかったと思います。こんなにおいしい豆があるのかと本気で思いました。 記: 広告代理店は資金を貯めるためにやってきたのですか。 青木さん: そうではありません。カフェをやりたい気持ちはあったけれども、そのために資金を貯めていたって訳ではないです。スペースができたってこと、自分の貯金、銀行からの借り入れのめどがたまたまついたからです。10年間働くと決めていたのではなく、ほんとにタイミングがあったからということです。広告代理店での出世とか昇進には全然こだわらなかったですね。やりたい仕事をやっているので満足感ばかりあって、肩書きとかは別にほしくなかったです。やめるころには主任になっていたけど、今日主任になったとして昨日とやっていることが変わりないという感じでしたし。やりたいことをやっているというのがただうれしかったですね。 記: 広告代理店はすんなりやめられたのですか。 青木さん: すんなりはやめられないで、半年伸ばされましたね。でも、うれしかったことがありまして、当時の部長が「おまえの席は2年間とって置いてやる」って言ってくれたんですよ。もし、理想を追って、もし失敗した時、「それが2年以内だったら、即戻って来い」って言ってくれたのがすごくうれしかったです。ただ2年経つと仕事の内容が変わるから、戻ってきてもすぐには仕事にはならないから、同じ状態では迎えられないってことで2年って言ったんですね。 記: では、カフェについてお伺いします。カフェの名前の「八分音符」ですが、由来はなんですか? 青木さん: 僕はロックをやっていて、ロックの基本が8ビートだから、そこから名前付けました。 記: お店のここが自慢というのはどこですか? 青木さん: お店では非日常感を味わっていただきたいですね。ここの町じゃないみたいっていうね。そのために内装も工夫しています。それから、もちろん、ガス焙煎や電気焙煎でなく、うちの炭火焙煎のコーヒーを味わっていただきたいです。 また、カップにもこだわっています。お客さんのイメージにあわせてカップを選ばせていただいています。 記: 具体的なお仕事は? 青木さん: コーヒーを入れることですね(笑)。午前11時オープンなので10時半ごろ行って掃除だとかをします。あとはコーヒーを入れています。それで早ければ午後9時に遅ければ10時に閉めます。それで後かた付けをして、10時半ごろには終わりますね。
記: お客さんには自分から話しかけないということですが、どんなに好みの女の人がいてもですか。 青木さん: そりゃ、べつですよ(笑)。冗談ですよ。全部のお客さんに対してスタンスは一緒です。なぜかというと、静かにしたいお客さんもいるじゃないですか。ただ、静かにコーヒーを飲んでボーっとしたい、とか1人で考えたいとか、わからないじゃないですか。だから、こちらから話し掛けてそれを邪魔するというのではなくて、お客さんから話し掛けてくれたときには、お話をするというスタンスですね。でも、長い間、通ってくれて、ある程度気心が知れてくれば、「今日はどうしたんですか」とか「元気ないですね」とか話しかけたりはしますね。 記: やりがいを感じるところはどこですか? 青木さん: お客さん1人1人が窓口、社会のいろんなことを教えてくれる窓口。お客さんとの出会いがすごく楽しいですね。それから、コーヒーを飲んでおいしかったよ、と言ってくれることがうれしいですね。今日、朝来てくれたお客さんが「20年前学生のときに来たことがあるんですよ。前は1階にありましたよね。」って言われましてね。お客さんの頭にちょっとでも残っていたっていうのがほんとにうれしかったですね。そういうことを言われると言葉で表せないくらいうれしいですね。 前は1階にあって、建物を建て直しをするという時期に「だいじょうぶなのかい」っていうふうにお客さんに言われたんです。8ヶ月くらい商売が出来ませんからね。そのときにたまたま僕の友達がいて、そのお客さんに「おれたちが守りますから大丈夫ですよ」って言ってくれたんです。この言葉が印象に残って、がんばんなきゃいけないなって思いましたね。 今もカフェが残っているわけですから、人とのつながりって大事だなと思っています。1人で生きてるんじゃないんだっていうのを強く感じます。今の若い子は口癖のように「関係ねえだろ」って言うでしょう。でも、「関係ねえだろ」って言ってる本人たちは電車に乗ったり、バスに乗ったり、何か買い物をしたりするわけです。これって人が関係してないと絶対できないことです。だから、やはり人との関係を大事にしたほうがいいと思いますよ。 振り返ると、助けられてきたなってすごく思います。例えば、兄弟、仲間、知らない人だったりですね。本当にそう思いますね。 |